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2010年12月08日

Mi Camino

このブログでもたびたび触れてきた

大好きなフラメンコギタリスト、沖仁さんのライヴに行ってきました。


今年7月に、スペインで開かれた国際コンクールで

日本人として初めて優勝したことが大きく報じられたので

ご存じの方も多いことでしょう。


10本の指から生まれる綺羅星のような音が連なると、

聴く者はたちまち身体ごと別世界に連れ出されてしまう。

そんな不思議な力を持ったギタリスト。

私はかねてから沖さんのことを「音で風景を描ける人」だと思っていましたが、

今回のライヴではそれに加えて

聴衆を呑み込んでしまう凄みや魔力のようなものを感じました。


沖さんの音楽は日常から生まれます。

おばあさまのお見舞いに訪れた病室、

滞在したスペインでの出来事、

奥様が身ごもってから出産するまでの日々。

フラメンコは元来、日常から生まれるものだといいますが

沖さんが日常に向けるまなざしは、常に素直な敬意に満ちあふれています。

訪れた場所や出会った人々に対して

分け隔て無くまっすぐな敬意を持って接し、

その中での自らのあり方を考え続けているからこそ

研ぎ澄まされた感性でとらえた日常の風景を、音に変換することが出来るのだと思います。


そしてフラメンコそのものへ向けた敬意について、

沖さんはステージでこんな風に語りました。


「僕は日本人だから、

フラメンコの素地を作った民族の、辛く苦しい歴史が身体に流れていない。

だからずっと、フラメンコに片思いしているような気持ちだった。

だけど今回、スペインのコンクールで認められたことで

初めて自分の思いを受け入れてもらえた気がした。

フラメンコの長い長い歴史から見れば

僕の存在など、ほんのひとかけらかもしれないけれど

たとえそうであっても、自分にとってそれは、とても誇らしいことだった。」


ああそうか、と腑に落ちました。

沖さんのギターに宿った魔力は、誇りから生まれたものだったのかと。

そして彼が最後に披露した新曲は、

まさに『誇りと敬意』を意味するタイトルの曲だったのです。


フラメンコのアルティスタがしばしば口にする、Duende(デュエンデ) という言葉があります。

舞踊や演奏に宿る、魂を強く揺さぶる霊性のこと。


いままで巡り会ったことはなくて、どんなものなのか見当も付かなかったけれど

沖さんの演奏の中に

初めてその姿を見ることが出来たような気がしました。

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